2024/10/22
2024年6月決算短信から
今回の決算について考察しました。2024年6月の決算サマリーから見える現状の課題や現状、及び今後の見通しについてまとめました。既にインフラファンドの買いなどを検討されている方の参考になれば幸いです。
【現在の懸念点】
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金利上昇の懸念
- 2024年のゼロ金利政策解除により、金利が上昇する可能性が高まっています。これにより資金購買コストの増加や利払い負担が上昇することが懸念されます。
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市場価格の下落
- 2024年5月末から東証インフラファンド指数が急落し、投資口価格の下落リスクが顯在化しています。金利上昇懸念やFIT期間終了後のリスクが原因と考えられます。
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FIT期間終了後の不透明性
- FIT期間終了後の太陽光パネルのリサイクル義務化や運営コスト増加、及び収益性の低下が懸念されます。
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出力制御の影響
- 出力制御が全国的に拡大しており、特に九州電力管内以外での実施回数が増加しています。これにより発電量や収益への影響が懸念されます。
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規制強化による事業者負担の増加
- 2024年4月の改正再エネ特擬法の施行により、住民説明会の義務化や廃棄費用の積立など、事業者の負担が増加しています。
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発電側課金の開始
- 2024年4月から発電側課金制度が開始しましたが、現在のFIT/FIP件は課金対象外のため、将来的に収益性へ影響する可能性があります。
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電力需要・日射量の変動リスク
- 電力需要の変動や全国的な日射量の減少により、発電量と収益が変動するリスクが存在します。
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資産拡大目標の達成リスク
- 中期目標としている運用資産残高2,000億円の達成に向けた資産拡大の進捗が予想通りに進むかどうか不透明な部分があります。
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利益超過分配金の方針変更
- 2024年8月に運用ガイドラインが変更され、利益超過分配金の支払い原資がFFOを上限とすることが明確化されました。これにより、将来的な分配金の水準が変動する可能性があります。
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自然災害リスク
- 太陽光発電設備は台風や地震などの自然災害による被害リスクがあり、発電量や修繕コストへ影響を及ぼす可能性があります。
【営業利益の減少】
営業利益が減少した理由として考えられる要因は以下の通りです。
- 全国的な日射量の減少
- 出力制御の地域的な拡大
- 運営コストの増加
- 資産売却等の一時的要因
【今後の見通し】
- 出力制御低減への期待: 政府の出力制御対策パッケージの効果により、2023年と比較して出力制御が抑制される見込みです。これにより発電量の増加が期待されます。
- 外部成長戦略の推進: スポンサーからの優先的売買交渉権を活用し、新たな資産の取得を進めることで、ポートフォリオの拡大と収益増加を図る計画です。
- 金利上昇への対応: 金利上昇が予想される中、財務戦略の見直しや資金購買コストの最適化が求められます。
- 利盪超過分配金の方針変更: 2024年8月に運用ガイドラインが変更され、利盪超過分配金の支払い原資がFFOを上限とすることが明確化されたことにより、分配金の安定性が高まる可能性があります。
- 再エネ関連政策の追い風: 第7次エネルギー基本計画の発表が予定されており、再生可能エネルギーの導入拡大が引き続き期待されます。
- FIT/FIP制度の安定性: 発電側課金が既認定のFIT/FIP件には購買期間中は適用されないため、当面の収益への影響は限定的です。
- 新規資産の取得予定: 2024年8月にCS佐倉市発電所の取得予定があり、これにより収盪基盤の強化が期待されます。
- ESG投資の推進: グリーンファイナンス・フレームワークの改定や国連責任投資原則への参加など、ESG投資を強化しています。
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